デスクワークと痔の関係:座りっぱなしを減らす予防のコツ
2026 年 10 月 5 日
一日中パソコンに向かっていると、気づけば何時間も椅子から立っていない、ということはよくあります。この「長時間の座り仕事」は、痔(いぼ痔。医学的には痔核)のリスク因子の一つと考えられています。
この記事では、学会のガイドラインや公的な情報をもとに、デスクワークの人ができる予防のコツをまとめます。
この記事は一般的な情報です。出血や痛み、腫れがあるときは自己判断せず、肛門科や消化器内科を受診してください。肛門からの出血は、痔以外の病気が原因のこともあります。
なぜ座りっぱなしが良くないと言われるのか
日本大腸肛門病学会の診療ガイドラインでは、痔核になりやすい生活習慣として次のものを挙げています。
- 排便回数が少ない、強くいきむなどの便秘の症状
- 重い物を扱う仕事(お腹に力がかかりやすい)
- 肛門のうっ血が生じやすい長時間の坐業(座り仕事)
- 食物繊維をあまりとらない食生活
座っているあいだは、おしりの周りに体重がかかり続けます。同じ姿勢が長く続くと、肛門の周りの血の巡りが滞りやすくなる(うっ血)と考えられています。同じガイドラインは、痔核の患者さんへの生活指導として「長時間の座位や体の冷えを避ける」ことも挙げています。
今日からできる予防のコツ
1. こまめに立ち上がる
いちばん手軽なのは、座りっぱなしの時間を区切ることです。肛門科の医師が監修する記事では「座りっぱなしが 1 時間を超えるようなら一度立ち上がる」「20 分に 1 回、すっと立ち上がって座るだけでも肛門の負担は軽減する」と紹介されています。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023」でも、長く座り続けることを 30 分ごとなどこまめに中断する ことが、生活習慣病のリスクを下げるうえで大切だとしています。痔のためだけでなく、体全体のためにも「30 分に 1 回は立つ」はちょうどよい目安です。
2. 便秘を防ぐ
痔の対策でまず大事なのは、便秘や下痢を防ぐことだと言われています。
- 水分をしっかりとる
- 野菜・海藻・豆類などで食物繊維をとる
- 便意を感じたらがまんしない
3. トイレに長く座らない
スマホを持ち込んでトイレに長く座ったり、強くいきみ続けたりするのは、肛門に負担がかかると言われています。出ないときは一度切り上げましょう。
4. 体を冷やさない、お酒を飲みすぎない
ガイドラインでは、痔核の患者さんへの生活指導として、体の冷えやアルコールのとりすぎにも注意するよう書かれています。冷房の強いオフィスでは、ひざ掛けなどで冷えを防ぐのもよいでしょう。
「立つのを忘れる」をなくすには
頭では分かっていても、集中していると 1 時間、2 時間はあっという間です。タイマーをかける、立ってできる仕事(電話、打ち合わせ)は立ってする、水を取りに行く回数を増やす、などの工夫が役立ちます。
タチアガロは、座りっぱなしが 30 分を超えると通知で知らせてくれる無料の Web アプリです。ログイン不要で、記録はお使いの端末だけに保存されます。座ったら「座る」、立ったら「立つ」をボタンで押して記録すると、1 日にどれだけ座っていたかも振り返れます。
アプリの画面や使い方は「はじめての方へ」で紹介しています。
まとめ
- 長時間の座り仕事は、痔のリスク因子の一つと考えられている
- こまめに立つ、便秘を防ぐ、トイレに長く座らない、冷やさない、が予防に役立つと言われている
- 症状があるときは、早めに専門の医療機関へ
参考にした資料
- 日本大腸肛門病学会「肛門疾患(痔核・痔瘻・裂肛)・直腸脱診療ガイドライン 2020 年版」痔核の疫学・保存的治療
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023」
- 公益財団法人 長寿科学振興財団 健康長寿ネット「高齢者の痔の原因と予防」
- MSD マニュアル家庭版「痔核」
- ボラギノール ボララボ「座りっぱなしと痔」(肛門科医監修)