スタンディングデスクは何分立つ?立つ時間の目安と使い方のコツ
2026 年 10 月 6 日
スタンディングデスクを買ったものの、何分立って何分座ればよいのか迷うことはありませんか。「座りすぎは体に良くない」と聞く一方で、「立ちっぱなしも良くない」という話もあります。この記事では、公的なガイドラインや研究をもとに、立つ時間の目安と使い方のコツをまとめます。
先に結論
- 「何分立つのが正解」という、公的に決まった時間はありません
- 厚生労働省は、座りっぱなしを 30 分ごとなどこまめに中断するよう勧めています。パソコン作業も 1 時間以内で区切り、ときおり立って作業するのが望ましいとしています
- 英国の専門家グループは、勤務中に立つ・軽く歩く時間を、まず 1 日 2 時間、やがて 4 時間に増やすことを提言しています
- 立ちっぱなしにも負担があると考えられています。座る・立つ・動くを、こまめに切り替えるのがよいでしょう
立ちっぱなしと座りっぱなし、どっちがいい?
座りっぱなしの負担
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023」は、座っている時間が長いほど死亡リスクが高くなるという研究を紹介し、座りっぱなしの時間が長くなりすぎないよう注意することを勧めています。また、長い座位を 30 分ごとなどこまめに中断することが、食後の血糖値や中性脂肪などの面で大切だとしています。
立ちっぱなしの負担
一方で、ずっと立っていればよいというわけでもありません。
カナダのオンタリオ州で、働く人約 7,300 人を約 12 年追った研究(Smith ら, 2018)では、主に立って働く職業の人は、主に座って働く職業の人に比べて、心臓病になるリスクがおよそ 2 倍でした。ただし、これは職業ごとの比較で、スタンディングデスクを使う人を調べたものではありません。
20 人に 2 時間立ったままパソコン作業をしてもらった実験(Baker ら, 2018)では、時間がたつにつれて全身の不快感が増え、脚のむくみも増えました。注意を保つ課題の反応も遅くなりました。著者らは、座る作業を立つ作業に置き換えるときは慎重に、としています。
どちらか一方に偏らない
人間工学が専門のアラン・ヘッジ教授(コーネル大学)も、座りすぎと同じように、立ちすぎも健康に良くないとしています。「座るか、立つか」を選ぶより、「こまめに姿勢を変える」と考えるほうがよさそうです。
何分立つ?目安になる数字
立つ時間の目安として、次のような数字が示されています。
| 出典 | 目安 |
|---|---|
| 厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」 | 続けて作業するのは 1 時間以内。次の作業までに 10〜15 分の作業休止をとり、途中にも 1〜2 分ほどの小休止を 1〜2 回とる。座って作業するだけでなく、ときおり立って作業するのが望ましい |
| 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023」 | 長い座位を、できるだけ頻繁に(例えば 30 分ごとに)中断する |
| 英国の専門家グループの提言(Buckley ら, 2015) | 勤務中に立つ・軽く歩く時間を、まず合計 1 日 2 時間、やがて 4 時間に(短時間勤務なら、その分短く) |
| コーネル大学 ヘッジ教授 | 30 分を 1 区切りに、座る 20 分・立つ 8 分・立って動く 2 分 |
ヘッジ教授の目安を 7.5 時間の勤務に当てはめると、座る時間が 5 時間、立つ時間が 2 時間、動く時間が 30 分で、座る・立つの切り替えは 16 回になります。ただし教授によれば、これはおおまかな目標で、厳密に守る数字ではありません。
数字はまちまちですが、どれも「同じ姿勢を長く続けない」という点では同じです。迷ったら「30 分に 1 回は姿勢を変える」と覚えておくと使いやすいでしょう。
はじめて使うときのコツ
1. 短い時間から始める
英国の専門家グループの提言では、立って働くことに慣れないうちは、筋肉や関節の違和感や疲れを感じることがあるとしています。姿勢を変えたり数分歩いたりしても和らがなければ座って休み、違和感が続くときは医師に相談するよう勧めています。はじめは 1 回数分から、少しずつ延ばしていくと続けやすくなります。
2. 立つきっかけを決めておく
電話やオンライン会議は立って受ける、資料を読むときは立つ、のように、作業の区切りと結びつけると切り替えを忘れにくくなります。
3. 立っているあいだも少し動く
同じ提言は、長いあいだじっと立ち続けることも避けるよう勧めています。ときどき重心を左右に移したり、足踏みをしたり、飲み物を取りに歩いたりしてみましょう。
4. 机と画面の高さを、そのつど合わせる
厚生労働省の情報機器作業のガイドラインは、無理のない姿勢で作業できるよう、机の高さやキーボード、ディスプレイの位置などを調整することを求めています。座ったときと立ったときでは合う高さが変わるので、切り替えるたびに机の高さを合わせ直しましょう。
昇降デスクで座る時間は減る?
職場で座る時間を減らす取り組みをまとめた Cochrane のレビュー(Shrestha ら, 2018)によると、昇降デスクを使った取り組みでは、ふつうの机に比べて勤務中に座る時間が減っていました。減った時間は、3 か月までの短期で 1 日平均約 100 分、3〜12 か月では約 57 分です。ただし、根拠の確かさは「低い」とされ、もっと長い期間の効果は分かっていません。
同じレビューでは、30 分ごとに 1〜2 分の短い休憩をとった人は、15 分の休憩を 1 日 2 回とった人より、勤務中に座る時間が 1 日平均 40 分少なかったという研究(1 件)も紹介しています。デスクを置くことに加えて、こまめに姿勢を変える習慣を続けることが大切だと考えられます。
タチアガロで「座る・立つ」の切り替えを記録する
タチアガロは、座りっぱなしが 30 分を超えたら知らせる無料の Web アプリです。ログイン不要で、記録はお使いの端末だけに保存されます。スタンディングデスクと組み合わせるなら、次のように使えます。
- デスクを上げて立ったら「立つ」、下げて座ったら「座る」を押して記録する
- 座りっぱなしが 30 分を超えると通知が届くので、デスクを上げるきっかけになる
- 通知をオンにしていれば、立ってから 15 分たったときに「そろそろ座りますか?」という確認も届く
- 1 日・1 週間の座っていた時間を振り返れる
アプリの画面や使い方は「はじめての方へ」で紹介しています。
ご注意
この記事は一般的な情報で、診断や治療の代わりにはなりません。立っているときに脚や腰の痛み、しびれ、むくみが続く場合や、持病がある場合は、医療機関に相談してください。
まとめ
- 何分立つかの公的な決まりはない。目安は「30 分ごとに座りっぱなしを中断する」「1 時間以内で作業を区切る」
- 英国の専門家グループの提言では、勤務中に立つ・歩く時間をまず 1 日 2 時間、やがて 4 時間に
- 立ちっぱなしにも負担がある。座る・立つ・動くをこまめに切り替える
- 慣れないうちは短く始め、違和感が続くときは無理をしない
参考にした資料
- 厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインについて」(令和元年 7 月 12 日 基発 0712 第 3 号、令和 3 年 12 月 1 日 一部改正)
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023」(本文)
- Buckley JP ほか. The sedentary office: a growing case for change towards better health and productivity. Br J Sports Med. 2015;49(21):1357–1362
- Shrestha N ほか. Workplace interventions for reducing sitting at work. Cochrane Database Syst Rev. 2018;(12):CD010912
- Smith P ほか. The Relationship Between Occupational Standing and Sitting and Incident Heart Disease Over a 12-Year Period in Ontario, Canada. Am J Epidemiol. 2018;187(1):27–33
- Baker R ほか. A detailed description of the short-term musculoskeletal and cognitive effects of prolonged standing for office computer work. Ergonomics. 2018;61(7):877–890
- Cornell University Ergonomics Web「Sit-Stand Working Programs」(Alan Hedge)